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一人出版社、夏葉社の代表である島田潤一郎さんが雑誌に綴った随筆をまとめた1冊。
「本屋さんしか行きたいとこがない」実際に島田さんが足を運んだ書店のことを中心にしたエッセイと、「本のゆくえ」という表題で、本や書店を取り巻く昨今の情勢を書いた内容の二部構成となっている。
ただただ本や本屋という場所が好きという、てらいない言葉で書かれた文章を読むと、まだ本というメディアが発信できること、それを受け取る人がいるという確かなものを感じて安堵する。
島田さんの目を通して見えてくる本屋さんに行ってみたくなるし、その中に、行ったことがある場所があれば、なんとなく嬉しくなる。
今や情報は、文字も画像もインターネットに溢れているけれど、本からしか得られないものがあると、文章を読んでいて励まされる思いがする。
本が好きな人に贈りたい1冊。
島田潤一郎:2009年、出版社「夏葉社」創業。
著書に『あしたから出版社』(晶文社)『古くてあたらしい仕事』(新潮社)『90年代の若者たち』(岬書店)