自分で持ち運べる家を担いで「生活する」ことをテーマに、フィールドワークをする村上慧さんは、2020年10月17日-2021年3月7日まで金沢21世紀美術館にて「移住を生活する」という大規模展を開催していました。
その展示内容を含め、東日本大震災後に白い自作の家を背負って歩き出した作家の活動を集約した1冊になります。
発泡スチロールで作った白い家を担いで、日本だけでなく海外も歩いた著者は、自分の足で歩くこと、家を置かせてもらう場所を交渉することを決めて、外へ向かって歩を進めます。
村上さんにとっては「日常」の延長となるこの行為は、それを見るもの、訪れる場所の人々には「非日常」となり、意味は反転します。その中で見えてくる風景や意味を日記と絵で描き出していく行為は、フィールドワークであると言えます。震災後の変わりゆく社会を見つめる記録であり、時にユーモラスで、時に哀しみや怒りを内包した随筆になります。
現代の方丈記であるこの本を、たくさんの人に読んでもらいたいです。
初期にtwitterでその活動を見つけて、ずっと見ていたのですが、ある時絵本『家をせおって歩く』(福音館書店:月刊絵本→単行本化)が発売され、さらに日記をまとめた『家をせおって歩いた』(夕書房)が刊行された時に、記念展が京都:誠光社で開催された時に、nowakiに立ち寄りしてくれた村上さんに声をかけて、店の軒下に家を置いてもらったのがきっかけで、日記の中にnowakiも登場します。(うちの看板猫の写真も!)
本書の内容は、
・村上慧さんの日記(2015/6/7-2020/12/8)
・家をせおって歩いている間に撮影した、家がある風景写真と歩いた場所で見たり泊まった建物のドローイング。
・21世紀美術館での展示風景(写真)
・評論
「君の歩行」(川瀬慈)
「家をぶん殴って右手が痛い」(辻琢磨)
「村上慧 移住を生活する」(野中祐美子)
になります。
*すごく厚い本(約45mcm)なので1回の注文で1冊だけ、レターパック520で発送します。他の本を同封するのが難しいです。ポストカードやクリアファイルは同封可能です。
*ソフトカバーなので開きやすい本です。
2021年3月 初版 804ページ
size:220x150x43mm
発行:金沢21世紀美術館
デザイン:阿部航太
村上慧:http://satoshimurakami.net/
美術家。友人と借りたアトリエの鍵を受け取った日に、東日本大震災が発生。2014年4月より発泡スチロール製の家に住む。著書に『家をせおって歩く(完全版)』(福音館書店)『家をせおって歩いた』(夕書房)がある。2020年10月-2021年3月にかけて21世紀美術館にて大規模な個展「移住を生活する」を開催。