柴野民三さんが書いた20話の童話に、茂田井武さんの挿絵がつけられた童話集。鶯を飼う少年、蝶々の見た夢、ささやかな暮らしのなかに咲く花のような、可愛らしい話が詰まっています。
茂田井さんの線は、つつつと継ぎ足して描いているようで、そこに手の優しさとか、作家の息遣いを感じて、心があたたかくなります。動物たちの目も黒々として愛嬌があります。
*本書は『ねずみ花火』(1949年新子供社刊)を底本としています。著作継承者であるご遺族の了解を得た上で、用字用語及び表記一部を改めるにとどめています。
2008年11月初版
柴野民三:児童文学者、詩人(1909−1992)
東京生まれ。北原白秋に師事したのち、小川未明主催の雑誌「お話の木」創刊、編集に携わる。1942年より本格的な作家活動に入る。
茂田井武:画家(1908-1956)
東京生まれ。1930年渡仏、1933年帰国。さまざまな職業を経て、1935年より雑誌の挿絵などを描き始め、以降子供の本を中心に膨大な数の装丁、挿絵を残す。